知らなくていい女と男達の話

自分と他人との、

男、33歳、会社員、実家住まい

 

出会いはジム。

男の好きなものとかは知らない。興味がなかった。

LINEのアイコンはサッカー選手だったから、サッカーが好きだったんじゃないかなと今更思う。

 

 


お台場デートからどのくらい経っていたか、ある土曜の夜。
適当にLINEをしていて、急遽ドライブに行くということで会うことになった。すぐに車で迎えに来た男。

女は薄手の白いロンTにデニム、グレーのカーディガンを羽織って出掛けたのを覚えている。

 

お互い、ドライブなんてしないことをわかっている。


適当に話しながら、まっすぐホテルに着いた。心の中で笑ってしまう。

部屋に入るなり、またすぐに首が痛くなるキス。女にはなんの感情もないキス、あるとすれば好奇心だけ。

ベッドの上で長い前戯、今回はすんなり受け入れることができた。あっというまに終わる。
こんなものだったかと、男の横に寝転がる女。

男はすんなり事が進んだことを、心境の変化があったかな?と嬉しそうだった。見当違いだけど。

 

男の横では全然眠れなくて、早く家に帰りたかった。
何度も何度も目が覚めて、ただ携帯をいじっていた。

帰り際、自動精算機の前で宿泊代が高かったのか知らないが、カードで支払いながら「痛いなぁ」と男がつぶやいていた。聞こえないふりをした。


特に話すこともない車内。
この時はAKB48じゃなかった気がする。

 

ありがとまたねって車のドアを閉めた。

 

 


しばらくジムでは会うけど、それ以上は避けてLINEもしなくなった。

今はもうジムで会っても、見て見ぬふり。話もしない。


他人なのだから。

 


でも、女はこれで目覚めてしまう。
最中の自分が自分ではないようで、それが快感だった。
普段真っ当な人間のふりをしている為のストレスを発散させるかのようだった。

 

背徳感が快感になっていたんだと思う。

 

もともと依存しやすい傾向があり、マゾヒスト的要素がある女は後戻りできそうになかった。